五條悟と時渡るJK〜過去いま運命論〜(dream)
□08-プリクラとクマとJK
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色々なゲームの音が鳴り響くゲームセンターの中。
箱体から出てきたプリクラを見てアミは爆笑した。
「キャハハ! すごっ、ぜんぜん盛れてないんだけど! ウケる!!」
アミ、プリクラ撮りたかったんだよね!
でもさすがに1人で撮るのはボッチすぎて恥ずかしかったから、諦めてたんだけど、ごじょーさとるがいて助かった!
「何、一人でウケてんだよ。バカか」
アミが笑ってると、ごじょーさとるが横から覗きこんで来た。
なんか、ごじょーさとるプリクラ初めてなんだって! だからアミはポーズの撮り方や、盛れる顔の角度、スタンプやらくがきについて教えてあげた。
ブーブー言ってたわりに、撮影がはじまったらノリノリだったから、面白かった。
アミが後ろからハグしたり、くっついたら、すっごい怒ってきたけど。
アミはプリクラブースの傍にあったハサミで、プリクラを半分に切った。
「はい、ごじょーさとるの分」
プリクラを受け取ったごじょーさとるは、プリクラをしばらく眺めた後、口をへの字にした。
「いらねー」
「今日のデート記念だよ! それ見てアミのこと思い出せたら思い出してね!」
「うぜー」
言うなりごじょーさとるはプリクラをゴミ箱に捨てた。
あー、勿体なーい! さっきまで結構ノリノリだったのに、なんでー??
まあ、アミの分は別にあるから良いけどねー。と、アミは自分の分のプリクラを財布にしまった。
ゲーセンから出るとごじょーさとるは、まっすぐ上を見てた。
ずっと見てたから、何かあるのかと思ってアミも見たら、少しくすんだ青空が広がってるだけだった。
※
渋谷をぶらついてる時にアミ面白いの見つけちゃった。
「クマばっかじゃん! かわいー!!」
何、このお店!とアミはお店の前に立ち止まる。
店員さんがきて、このクマはバースデーベアって言うんですって教えてくれた。
365日の誕生日ごとのクマがあるんだって。
店内に入ると、色んな種類のバースデーベアがあってテンションが上がった。
かわいい物好きのアミとしては、このクマはちょっと見逃せないかも!!
「アミ、これ買う! あ、ごじょーさとるもいる?」
「いらねー」
ごじょーさとるが見ていたマスコットを確認すると、水色で足の裏に12って刺繍されてるクマで「7th」ってプレートの首飾りがついていた。
「もしかして、ごじょーさとるの誕生日って12月7日?」
「……」
「ねえ、あってる? ねえねえねえ!!」
ねえねえ攻撃を続けたら、ごじょーさとるもうっとーしくなったみたいで、観念した。
「うっせーな、そーだよ」
「ヤッター! あってた!!」
「勝手に一人で楽しんでろ」
アミが喜んでると、ごじょーさとるは疲れた様子で外に出て行った。
このまま逃げちゃおうかとも思ったけど、ごじょーさとるが店の外でガッツリ待ってるから、逃げるのは難しそうだった。
レジでお会計を済ませて、値札をお店の人に外してもらう。
その場でアミは自分の誕生日のバースデーベアを、クソダサゴルフバックにつけた。
――うん。これでちょっとはマシになったでしょ!
アミがお店から出ると、ごじょーさとるは、また空を見上げてた。
アミもつられて上を見るけど、特に何もなくて、やっぱりくすんだ空があるだけだった。
さっきから空を気にするごじょーさとる。
何?雨でも降るの?
※
「渋谷、超、満喫できたー!!」
ごじょーさとると渋谷を遊びつくして、アミは大満足だった。
いま、アミ達は2人でチュッパチャップスを舐めながら代々木公園のベンチでまったりしてる。
「付き合ってくれて、ありがとーね! ごじょーさとる」
「別に、監視のついでだよ」
プリン味のチュッパチャップスをガリガリしながら、ごじょーさとるが答える。
ふと、公園内の時計を見たら子供はお家に帰るような時間だった。
太陽もだいぶ沈んでて、真っ赤な夕焼け空が広がっている。
「ねえ、ごじょーさとる。門限とか大丈夫? お家の人とか心配してない?」
「今日は任務だから門限なんてねーよ」
「あ、そうなんだ」
「まだ“見込み”も確定してねーしな」
そう言ってごじょーさとるは、あかね色の空を見上げた。
ごじょーさとるの宝石のような目が、夕陽の光でキラキラして綺麗だった。
「ねえ、今日ずっと空見てるけど、なんかあるの?」
「見えないの?」
「何が?」
「ふーん、やっぱまだ俺だけか…」
このまま終わりゃ楽だけど、とごじょーさとるは呟いた。
ちょっと意味が分からなくて、アミはサクランボ味のチュッパチャップスを口にいれた。
――うーん。アミ、この後どうしよっかな?
過去に来るときは、はじまりの位置はクソジジイの家にあるマホー陣が指定だった。
だけど、未来へ戻る時の位置の指定は無くて、どこにいても帰れるって教えてもらってる。
アミが未来に帰れるのは明日の5時ごろだから、まだまだ遊ぶ時間は残ってる。
せっかく過去に来てるんだもん。1999年の夜の街も楽しんでみたいよね!!
アミはチラッと隣のちびっ子を見てみた。
棒付アメをガリガリしきった、ごじょーさとるは棒だけを口にくわえて、遠くを見てた。
――お子ちゃまのごじょーさとるは邪魔なんだよねー…。
アミ一人なら警察に補導されても何とかなるけど、さすがに9歳児いたら無理。
ごじょーさとるは渋谷から動けないみたいだから、場所を変えよっかな。
――どこがいーかな? …そうだ新宿にしよう!
金払いよさそうなお兄さんかオジサナンを逆ナンするか、ちょっとグレーゾーンなキャバに体験入店すれば朝まで時間は潰せるでしょ!!
よし! 新宿に決めた! とアミは意気込んで、立ち上がる。
「ごじょーさとる、今日はありがとう。ごめんだけど、アミは門限があるから帰るね!!」
「ハッ? オマエ、見るからに門限守るタイプじゃないだろ」
「人を見た目で判断しちゃいけないんだー」
「ダメ。俺といろ」
「いやいや、帰るって!」
「だったら、ジュブツを置いてけよ。それなら許してやる」
「……」
9歳児の上から目線の話し方に、大人のアミでもさすがにカチンってきちゃったよ。
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